多言語翻訳の基本|注意点や仕向地の選び方は?

2024.8.28

  • 翻訳あれこれ
多言語翻訳の基本|注意点や仕向地の選び方は?

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    昨今、街中の標識や観光案内等で、英語以外にも中国語や韓国語など、さまざまな言語表記を目にする機会が増えてきました。企業のグローバル化やインバウンド需要の高まりもあり、多言語翻訳は一段と重要度が増しています。また、そのニーズもWEBサイトや製品マニュアル、マーケティング資料、教育研修資料など、多岐にわたります。

     

    この記事では、多言語化を検討している方向けに、多言語翻訳の基本的なポイントをご紹介します。特に注意すべき点や、翻訳の品質を左右する「言語の仕向地」についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

    とらんちゃん

    普段の生活の中でも色んな国の人を見かけるよね。
    言葉の壁を越えて、世界中の人と繋がりたいね!

    多言語翻訳とは?

    多言語翻訳とは、ある言語で書かれた文章やコンテンツを、一つの言語から複数の言語に翻訳することを指します。単に言葉を置き換えるだけでなく、その言語特有のルールや現地の文化・慣習を考慮したうえで、適切な表現にすることが求められます。

     

    多言語翻訳は、以下のようなさまざまなシーンで役立っています。

     

    • 社員教育や社内のコミュニケーションの促進
    • ビジネスの拡大(企業のグローバル市場への進出)
    • 教育や学術分野での知識の共有と学術交流の促進
    • 患者と医療従事者間のコミュニケーションの質向上
    • 観光客の利便性向上

    仕向地とは?

    仕向地(しむけち)とは、「商品・貨物などの送り先、注文品の発送先」のことであり、翻訳においては翻訳後の文章やコンテンツが使われる「国や地域」を指します。正確な翻訳のためには、どの国や地域に向けた翻訳なのか、言語の「仕向地」を明確にしておくことが重要です。

     

    例えばスペイン語は、スペインだけでなく、アルゼンチン、チリ、ペルー、キューバ、メキシコ、コスタリカ、ウルグアイなど、アメリカ大陸の広い地域で公用語として話されています。しかし、スペインで話されるスペイン語とアメリカ大陸のそれぞれの国で話されるスペイン語は異なるため、仕向地を確認しておく必要があります。

    特に仕向地を確認すべき言語

    スペイン語:スペイン本土向け/メキシコ向け など

    ポルトガル語:ポルトガル本土向け/ブラジル向け など

    中国語(簡体字/繁体字):中国本土向け/香港向け/台湾向け など

    フランス語:フランス本土向け/カナダ・ケベック州向け(カナディアン・フレンチ) など

    中国語の「簡体字」と「繁体字」

    中国語には簡体字(かんたいじ)と繁体字(はんたいじ)があります。

    簡体字は主に中国本土やシンガポールなどで使用されているのに対し、繁体字は台湾、香港、マカオなどで使用されています。翻訳センターが扱う中国語案件の約8割は簡体字です。

     

    また、繁体字翻訳の依頼の大半は台湾向けですが、稀に「香港向け」の繁体字翻訳を依頼いただくこともあります。香港向けの繁体字は台湾向けの繁体字とは言い回しが異なり、香港独特の表現も多く見受けられます。そのため、繁体字翻訳でも仕向地の確認が必要です。

    とらんちゃん

    世界では約7,000種類以上の言語が存在するみたいだよ!

    翻訳時の注意点や言語ごとのルールは?

    翻訳時の注意点や言語ごとのルールは?

    ここからは実際に翻訳する際の注意点や、言語ごとのルールをご紹介します。

    1.桁区切り・小数点

    日本語では「1,000」のようにカンマで桁を区切り、小数点は「1.25」のようにピリオドを使用しますよね。しかし、国によっては小数点に「カンマ」を、桁区切りに「ピリオド」を使用することもあり、表し方はさまざまです。

    例:

    2.引用符と記号の使い方

    近年では英語と同じ引用符(クオーテーションマーク)を使う言語が多くなっているようですが、本来は英語とは異なる引用符を使う言語もあります。

    例:
    英語 “English”
    ドイツ語 „Deutsch“
    フランス語 «Français»

    また、文章の前後にクエスチョンマーク(?)やエクスクラメーションマーク(!)などの記号を入れる言語もあります。スペイン語では、疑問文の最初に「¿」、最後に「?」を、感嘆文の最初に「¡」、最後に「!」をつけます。逆さまの「¿」や「¡」は「逆疑問符」や「逆感嘆符」と呼ばれ、文章が疑問文や感嘆文であることを識別しやすくするために使われます。

    スペイン語では、英語と異なり肯定文と疑問文の語順がほぼ同じであるため、文頭の記号によって文章の種類が明確になります。これらの記号はスペイン語の正書法によって制定されており、他のラテン言語には存在しません。面白いですよね。

    例:
    ¡Hola!(こんにちは!)
    ¿Cómo estás?(お元気ですか?)

    3.略語

    各言語の略語には英語の略語と異なるものもあるため、注意しましょう。

    ■世界保健機関
    英語:World Health Organization(WHO)
    スペイン語:Organización Mundial de la Salud(OMS)

    ■国内総生産
    英語:Gross Domestic Product(GDP)
    フランス語:Produit Intérieur Brut(PIB)
    ドイツ語:Bruttoinlandsprodukt(BIP)
    イタリア語:Prodotto Interno Lordo(PIL)

    4.語形変化

    語形変化とは、単語が文法的な意味や機能に応じて形を変えることを指します。これは名詞、動詞、形容詞などの品詞に適用され、文法的な特性(例えば時制、数、格、性など)を示すために変化します。

    ■動詞の時制変化
    英語:walk(歩く)→ walked(歩いた)
    ドイツ語:gehen(行く)→ ging(行った)

    ■名詞の性と数
    フランス語:ami(友達・男性)、amie(友達・女性)
    スペイン語:hermano(兄弟)、hermana(姉妹)
    ドイツ語:Hund (犬・単数形)、Hunde (犬たち・複数形)

    専門用語に注意しよう!

    多言語翻訳においても、専門用語の正確な翻訳が求められます。技術文書や医薬品開発文書などの専門性の高い文書では、用語一つの意味が言語によって大きく異なることがあります。そのため、専門用語を正確に翻訳するには、語学力だけでなく、対象分野の専門知識が不可欠と言えそうです。

    とらんちゃん

    各言語のルールは他にもいっぱいあるよ!
    言語によってルールが違うのも「言葉」の面白さだよね!

    まとめ

    いかがでしたか。今回は多言語翻訳の基本的なポイントをご紹介しました。多言語翻訳は単なる言葉の置き換えではなく、文化・習慣やその言語特有のルールなど、幅広い知識が求められます。翻訳センターでは、80言語以上に対応した翻訳サービスを展開しています。多言語翻訳に関するご質問やご相談は、下記の「翻訳センターへ問い合わせる」からお気軽にお問い合わせください。また、近々「多言語AIナレーション」に関する記事も公開予定です。楽しみにしていてくださいね!

    ここまでお読みいただきありがとうございました。

    翻訳センター インサイドセールスチーム

    とらんちゃん

    とらんちゃん

    「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。

    • 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
    • モットー何でもトライ!
    • 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。

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