多様性に配慮して英語コミュニケーションを!インクルーシブ・ランゲージとは

2023.9.13

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多様性に配慮して英語コミュニケーションを!インクルーシブ・ランゲージとは

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    皆さん、日本の「新語・流行語大賞」はご存知ですよね?これは1年の間で注目された出来事や発言、流行からその年を象徴する言葉を選び、表彰するものですが、海外にもこの賞と似た「WORD OF THE YEAR(今年の言葉)」というものがあります。

     

    少しさかのぼりますが、アメリカのメリアム・ウェブスター社は2019年の「WORD OF THE YEAR」に「they」を選出しました。同社はなぜその年を象徴する言葉に人称代名詞の「they」を選んだのでしょうか?それは、「they」を「he」でも「she」でもない、性別に中立的な(ノンバイナリーな)人に対して使うもの、つまり「they」に単数形としての意味が加わったからです。

    Word of the Yearについては別の記事で紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

    ところで皆さんは、多様性に配慮した言葉である「インクルーシブ・ランゲージ(Inclusive Language)」について耳にしたことはありますか?この記事では、英語を使用する際の「インクルーシブ・ランゲージ」について書いていきます。

     

    私たちがどんな点に配慮するといいのか、一緒に考えてみましょう。

    とらんちゃん

    インクルーシブ・ランゲージって何に役立つの?誰のためのもの?みんなで考えてみよう!

    インクルーシブ・ランゲージってなに?

    日本語の「警察官」は英語では「policeman」、以前はこれが正解でした。しかし昨今は、「police officer」が正解であり、教科書も当たり前のように「police officer」を採用しています。理由は「man」という言葉には男性的な意味合いが含まれているからです。

     

    インクルーシブ・ランゲージ(Inclusive Language)は日本語では「包括的な言語」と訳され、性別、年齢、宗教、障害、人種など関係なく、誰もが尊重され、歓迎されていると感じさせる表現のことを指します。密接な関係がある言葉として「DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)」や「ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)」などが挙げられます。

     

    ※「DEI」とは、ダイバーシティ(Diversity、多様性)、エクイティ(Equity、公平性)、インクルージョン(Inclusion、包括性)の頭文字

    ※「ポリコレ」とは、ポリティカル・コレクトネス(Political Correctness、政治的正しさ)の略称

    インクルーシブ・ランゲージ入門 ~実際に注意すべきこと~

    誰もが受け入れられる社会の実現に向けて、私たちは実際に何から意識していくといいのでしょうか。ここではいくつかの事例を紹介します。ぜひ、職場やプライベートにおいてコミュニケーションをとる際のヒントにしてみてください。

     

    1. 相手が自分自身についてどのように話しているかを聞いてみましょう。
      自分の中にある「一般的」や「普通」という概念を捨ててみましょう。そして、相手の言葉に耳を傾け、その人を尊重できる表現を探してみましょう。ここで大事なポイントは、相手が好む表現を使うことです。

    2. 相手の個性を尊重し、個性に合った言葉選びを意識しましょう。
      広辞苑では「個性」を、個人に具わり、他の人とはちがう、その個人にしかない性格・性質、個物または個体に特有な特徴あるいは性格、と定義しています。相手の個性に敬意を持ち、相手の個性を理解して言葉を選ぶように心がけましょう。

    3. 必要に応じて三人称単数形の「they」を使ってみましょう。
      冒頭でも紹介したように「they」は「彼ら」など複数形として使う他に、性別を特定しない三人称単数形としても使うことができます。「they」は「he」や「she」などと同じように使えるので、英語でコミュニケーションをとる際は必ず頭に入れておきましょう。ジェンダーの多様化により、英語圏ではすでに「they」の三人称単数形が定着していますが、実は日本でも使われた例があります。2022年の国立大学の入試問題において「なお、以下の選択肢においてtheyおよびtheirは三人称単数を示す代名詞である」という注意書きとともに単数形のtheyが使われたことが話題になりました。

      <フレーズ例>

      This is my friend, Ken. I met them at work.
      (こちらは友人のケンです。職場で知り合いました。)

     

    とらんちゃん

    自分を表す代名詞は「they/them」だとSNSなどで公表する人も増えているみたいだよ。



    具体的なインクルーシブ・ランゲージの使い方

    「なんだかインクルーシブ・ランゲージって難しい・・・」

    「インクルーシブ・ランゲージの具体的な例は・・・?」

     

    では、実際にどのような言葉がインクルーシブ・ランゲージとして扱われているのでしょうか。おそらくこれから紹介する言葉の中には、私たちが以前に学校や社会で学び、疑いもなく使っていた言葉があるかもしれません。でも大丈夫です。今すぐに置き換えていきましょう。

    日本でも当たり前に使われている身近な言葉

    カタカナ表記としても馴染みが深く、普通に使われている英語の一例を挙げてみました。

    また、以前日本でよく耳にしていた「Ladies and Gentlemen(皆さん)」という表現はここ数年で使われなくなり、代わりに「Hello, everyone」や「All Passengers」が使われるようになりました。気付いていましたか?

    他にもこんな英語を使っていませんか?

    皆さんも知っているインクルーシブ・ランゲージはありましたか?なぜ置き換える前の表現がインクルーシブ・ランゲージへと変わっていったのか、他にはどのような表現が使われているのか、調べてみるのもいいですね。

    とらんちゃん

    「Merry Christmas!」という挨拶も、さまざまな宗教に配慮して「Happy Holidays!」に変わってきているみたいだよ。お互いに幸せを感じられる挨拶ができると嬉しいね!

    まとめ

    翻訳センターでもポリコレやジェンダーに関する翻訳表現についてどのように対応しているか、お問い合わせをいただくことがあります。配慮が必要な表現が原稿に含まれている場合は、ことさら注意して翻訳作業を行うことや、懸念点の調査、適切な表現への置き換え、参考サイトをご紹介するなど、言葉のプロフェッショナルの立場だからこそできるご提案を心がけています。

     

    先に挙げた例でもわかるように、インクルーシブ・ランゲージに置き換わる前の表現は、世間に浸透し、常識として使われていたものばかりです。言語は常に変化を続けるものと認識し、日常で使っている言葉や表現を継続的に見直すことや学び直す姿勢が大切ではないでしょうか。まずは知識を身につけることから始めてみませんか。そうすることで、多様性を尊重しているというメッセージにも繋がります。 「言葉」を扱う私たち翻訳会社も、引き続きインクルーシブ・ランゲージの拡がりに真摯に向き合っていきたいと思っています。

    ここまでお読みいただきありがとうございました。

     

    ※記載の法人名、会社名および製品名は、各社の登録商標および商標です。

    翻訳センター インサイドセールスチーム

    とらんちゃん

    とらんちゃん

    「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。

    • 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
    • モットー何でもトライ!
    • 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。

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