IR担当者必見!IR翻訳発注時のよくあるお悩み 3つの事例
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IR英文開示の現況
2025年4月よりプライム市場に上場するすべての企業に対し、重要な開示情報について日本語と英語の同時開示を義務化することが発表されました。
また、上場維持基準を満たしていない企業でも新市場に留まることのできた経過措置が同じく2025年3月より順次終了することもあり、今後開示資料の英訳に本格的に乗り出す企業が増加することは間違いありません。
英文の情報開示では、海外投資家に向けて正確な情報をタイムリーに提供することが求められます。品質と納期を最適化するために、翻訳を外部委託することも選択肢の一つです。重要なドキュメントであるからこそ、品質や納期の管理、翻訳会社への依頼方法、納品された翻訳文の確認など、翻訳を外部委託する上でのお悩みの声も多くあるようです。
この記事では、このようなIR翻訳の外部委託に関するお悩みに、翻訳会社の視点からの解決事例を紹介します。
この記事がIR担当者さんのヒントになればとらんもうれしいな。
お悩み事例1
複数ドキュメント間での用語不統一
「IR文書」とひとくくりにいっても、決算短信や決算説明会資料、株主総会招集通知など、さまざまなドキュメントがありますよね。これらのドキュメントには共通の用語も多く、複数ドキュメント間での用語の統一が求められます。
例えば「the Group」と「the Honyaku Center Group」は、どちらも「当社」を意味しますが、同じ会社の決算短信と株主総会招集通知で同じ用語が使われているにもかかわらず、翻訳後の用語が統一されていないと、海外投資家に読みづらい印象を与えてしまいます。
タイムリーな対応が求められるIR文書の翻訳では、複数の翻訳者で1つのドキュメントを翻訳するケースや、納期・コストの都合からドキュメント全体の翻訳はせず、新たに追加・変更された文章のみを翻訳する場合があります。そのため、複数ドキュメント間で生じる用語の不統一について、お悩みの声をいただくことがあります。
解決事例1
1.用語集を作成しておく
用語の不統一を解消するには、会社名や部署名、製品名など、その会社独自で使用している固有の用語や、頻出用語などを、原文の日本語と訳語の英語が対になった「用語集」として作成しておくといいでしょう。原則一つの用語に一つの訳語として作成しましょう。そして翻訳を発注する際、翻訳会社にその用語集を渡しておけば、限られた納期の中でも共通の認識を持って翻訳を進められるため、効率よく用語を統一することができます。
また、勘定科目の訳語は金融庁が公表している「EDINETタクソノミ用語集」に合わせることが一般的とされています。「EDINETタクソノミ用語集」の詳細については、以下のページよりご確認ください。
2.参考資料の優先順位を伝える
翻訳を外部委託する際、過去に翻訳した複数の関連ドキュメントを参考資料として翻訳会社に渡すこともありますよね。その場合、参考資料に優先順位をつけることも意識しましょう。なぜなら、複数ドキュメント間で用語の不統一があると、どの用語を優先したらいいのか、翻訳者が判断に迷ってしまうからです。翻訳会社へ複数の参考資料を提供する場合は、参考資料の優先順位を伝えておくといいでしょう。
3.翻訳支援ツールが使える会社へ依頼をする
翻訳支援ツールとは過去の翻訳を対訳形式(原文と訳文が対になったもの)でデータベース化し、翻訳メモリとして次の翻訳時に活かすためのツールです。翻訳支援ツールを使う際のメリットについては、下記のページで詳しく紹介しています。
このように、翻訳支援ツールが使える会社へ翻訳を依頼すると、納期やコスト面でのメリットはもちろんのこと、文体や用語の統一、関連案件との整合性が取れる等、品質の面でもメリットを得られます。
同じ用語や類似の文章が頻出するIR文書と翻訳支援ツールは相性が抜群です!翻訳を依頼する際に翻訳支援ツールの使用について相談してみてはいかがでしょうか。
翻訳支援ツールを使うには、Word などのテキストが編集できる元原稿が必要みたいだよ!
ちなみに・・・
東京証券取引所が2023年8月に公表した英文開示に関するアンケート調査結果によると、日本企業の英文開示の状況に対して、海外機関投資家は改善を評価する一方、中小型株における英文開示の不足などを指摘しており、特に「決算短信」、「IR説明会資料」、「有価証券報告書」は英文開示を強く求める声があるようです。
さらにここ最近では非財務情報への関心の高まりもあり、ますます英文での情報開示を求める声が高くなっていくと思われます。
お悩み事例2
日本語版の作成スケジュールを管理するのに手一杯・・・
開示スケジュールが決まっているIR文書では、日本語版の作成スケジュールを管理するのに手一杯で、翻訳のスケジュールにまで手が回らない・・・、というお悩みも多くいただきます。また、IR文書は開示直前で文言が変わることもあるため、日本語版の作成スケジュールが遅れると、翻訳のスケジュールにも影響が及んでしまいます。
解決事例2
翻訳会社に前もってスケジュールを共有する
いつまでに原稿となる日本語版が完成し、いつまでに翻訳を完了してほしいのか、前もって全体のスケジュールを翻訳会社と共有しておけば、日本語版に急な文言変更が生じた場合でも、スムーズにスケジュール調整ができるでしょう。ここでは一例として、四半期決算短信10ページの英訳における概算スケジュール(入稿後10日前後での納品となる場合)を紹介します。下記のフローを目安としてスケジュールを組み立ててみてはいかがでしょうか。
分量:10ページ(約10,000文字想定)
作業内容:日本語→英語に翻訳、ネイティブチェック込み
納品後の内容確認の時間も含めたスケジュールを検討してみてね。納期を短縮したいときや迷ったとき、まずは翻訳会社に相談しよう!
お悩み事例3
翻訳文のチェックに思った以上に時間がかかる・・・
「見積もりの金額や納期も問題ないし、納品される翻訳文もたぶん大丈夫だろう」
「前に技術文書の翻訳を依頼したことがあるし、その時の翻訳文には問題がなかったから、IR文書の翻訳もきっと大丈夫」
でも、いざ翻訳会社から納品された翻訳文を見てみたら・・・
「なんだか思っていた仕上がりと違う」
「求めていたレベルの品質ではなかった」
このような経験のある方もいるのではないでしょうか。想定とは違う仕上がりの翻訳文が納品されてしまったら、社内チェックの時間に労力がかかってしまいますよね。翻訳の品質の決め手は、ずばり事前の確認と準備です。では、翻訳会社から納品される翻訳文の品質をコントロールして、社内チェックを省力化するにはどうすればいいのでしょう?
解決事例3
1.作業手順、参考資料の活用方法など、事前の打ち合わせは必須
お悩み事例1でもご紹介したように、翻訳会社に用語集や参考資料の有無をきちんと伝えることが重要です。さらに、それらの資料をどのように活用してもらいたいかの希望も伝えるといいでしょう。例えば、参考資料となる過去の翻訳文に誤りがあっても、変更はせず過去資料との整合性を重視して同じ表現を使ってもらいたいか、基本的には参考資料の翻訳文を使用するが、誤りがあった場合には翻訳文の修正を行ったほうがいいのか。それとも誤りがあった箇所にコメントのみを残してもらうのがいいのか、など、細かく希望を伝えておくと、納品後の翻訳文の確認項目を省くことができます。
もし用語集や過去資料がない場合は、翻訳会社の翻訳工程と品質管理体制を確認するようにしましょう。また納品後の質問には対応してくれるのか、翻訳文の修正には追加費用がかかるか等、納品後のフォロー体制についても確認しておくとよりいいでしょう。
2.トライアルの活用で事前の品質確認を
はじめて翻訳を依頼する翻訳会社はもちろんのこと、すでに取引がある翻訳会社に依頼したことのない内容の翻訳をお願いするというときでも、多くの場合は事前トライアルが利用できます。トライアルの場合でも用語集や参考資料は準備するようにしましょう。そして、納品された翻訳文をチェックする際は、用語の統一・不統一の程度や渡した用語集や参考資料をきちんと参照して翻訳しているかを確認しましょう。トライアルを有効利用して、事前に翻訳文の仕上がりイメージをすり合わせることで、翻訳文のチェックの負荷を減らせるように準備しましょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は、IR翻訳の外部委託に関するお悩みに対して、翻訳会社からの解決事例を紹介しました。IR文書の英文化はこれからますます活発になると予想されます。翻訳を外部委託する際には事前の準備と翻訳会社への早めの相談を意識してみてはいかがでしょうか。
IR英文化についてより詳しく知りたい方は、下記ページをご覧ください。
また、IR英文化に関するご質問があれば、下記の「翻訳センターへ問い合わせる」からお気軽にお問い合わせください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
※ Wordは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。
翻訳センター インサイドセールスチーム
とらんちゃん
「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。
- 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
- モットー何でもトライ!
- 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。
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