ことログ|スペイン語の特徴と翻訳時の注意点

2025.4.9

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ことログ|スペイン語の特徴と翻訳時の注意点

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    とらんちゃん

    今回から、「言葉」の魅力を「ブログ」で届ける「ことログ」シリーズをスタートするよ!
    まるで「ことり」が情報を運んでくるように、楽しく親しみやすく、言語の特徴や豆知識、翻訳時の注意点などを紹介していくね。
    ちなみに、英語でも「A little bird told me」という表現があって、誰かがこっそり教えてくれたという意味なんだ。

    初回はスペイン語の記事だよ!スペイン語の魅力やポイントをたっぷり紹介するね。
    「ことログ」を通じて、言葉の世界をもっと身近に感じてもらえたら嬉しいな。

    スペイン語を母語として話す人は、中国語に次いで世界で2番目に多いと知っていましたか?

    母語としてスペイン語を話す人は、約4億8400万人もいます。さらに、スペイン語話者全体では約5億5800万人にのぼります。これは、スペイン語がスペインだけでなく、メキシコや中南米の多くの国々で母語として話されているためです。

    また、アメリカでもスペイン語話者は非常に多く、映画やドラマでも、スペイン語の会話シーンがよく出てきますよね。

    この記事では、世界中で多くの人が使うスペイン語についてご紹介します。

    とらんちゃん

    スペイン語が話せると、いろいろな国の人とおしゃべりできるんだよ!
    1つの言語でこんなにもたくさんの人とお話ができると考えると、わくわくしちゃうよね!
    とらんにもスペイン語を話す友達がたくさんいるんだ!

    スペイン語の概要:さまざまな国のスペイン語

    世界中で多くの人が使うスペイン語。なぜこんなにも多くの国で公用語として使われているのでしょうか。

    また、同じスペイン語でも国によって違いがあるのでしょうか。

    なぜメキシコや中南米でもスペイン語が使われているの?

    その背景には、スペインによる侵略と統治の歴史があります。コロンブスによる新大陸発見の後、1494年にスペインとポルトガルの間でトルデシリャス条約が結ばれました。この条約により、分界線の西側にある陸地はスペインが、東側にある陸地はポルトガルが統治することとなりました。

     

    そして、この条約が、のちにスペインがアメリカ大陸の大部分を、ポルトガルがブラジルを植民地化する根拠となりました。そのため、現在もなおブラジルの公用語はポルトガル語です。

    国によってスペイン語の違いはあるの?

    国が違えば文化や習慣が異なるだけでなく、言葉にも違いが現れます。

    同じスペイン語でも国によって違いがあることをご存知ですか?ここで、分かりやすい違いをご紹介します。

    • 話し方の特徴
      スペイン人は比較的早口で抑揚が少ない話し方をしますが、ラテンアメリカの国々の人は、抑揚が大きかったり、リズミカルな話し方をしたりと、国によって特徴はさまざまです。
      国や地域によって、子音の発音が違ったり、特定の子音を発音しなかったりするので、同じ単語なのにまったく違う単語のように聞こえることもあります。

    • 単語の違い
      アメリカ英語とイギリス英語のように、スペイン語も国によって物の呼び方が異なる場合があります。

      例:「バス」
      ・スペイン:autobús
      ・メキシコ:camión
      ・ドミニカ共和国:guagua
      ・チリ:micro
      ・アルゼンチン:colectivo, bondi

    • 人称代名詞の使い方の違い
      国によって人称代名詞の使い方にも違いがあります。こちらは次の章でご説明します。

    とらんちゃん

    ひと言に「スペイン語」といっても、世界中の人が全く同じ「スペイン語」を話しているわけじゃないんだよ。
    言葉を学ぶことは、その国の歴史や文化を学ぶことでもあるんだね。

    スペイン語の特徴:覚えることがたくさん!?

    スペイン語には数多くのルールがあります。

    日本語や英語にはない考え方やルールもあるため、最初は理解するのに時間がかかるかもしれません。

    ここでスペイン語のルールの一部をご紹介します。

    名詞に「性」がある

    スペイン語ではすべての名詞が「男性名詞」か「女性名詞」に分類されます

    これはいわゆる、「男言葉」や「女言葉」という意味ではなく「名詞自体に性が割り振られている」ということです。

    英語も元々は男性名詞と女性名詞がありましたが、現代英語では失われています。なので、あまりピンと来ない方も多いかもしれません。

    例を挙げてみましょう。

     

    男性名詞:libro(本)、teléfono(電話)

    女性名詞:mesa(机)、estación(駅)

     

    何をもってして男性名詞と女性名詞が決まるのか、定説はないようなのですが、スペルによってある程度どちらであるか推測することはできます。例外もありますが、例えば、語尾が「-o」であれば男性名詞、「-a」であれば女性名詞であることが多いです。

     

    名詞の性は、冠詞、形容詞、代名詞にも関わります。そのため、周りの単語と名詞の性が一致していないと、相手が何の話をしているのかわからなくなってしまう可能性もあります。

     

    このような特徴から、スペイン語の改訂翻訳(対象文書の新版と旧版を比較し、変更部分だけを翻訳する方法)をする場合、単語だけを一括置換で処理することは要注意です。単語によっては、同じスペルで女性名詞と男性名詞の両方が存在し、それぞれで全く違う意味をもつものもあります。

    例えば下記のようなものがあります。

    日本語の「同音異義語」とも似ていますよね。

    とらんちゃん

    「名詞の性」は日本語にはない概念だから、最初は戸惑うよね。
    でも実はこのルールをもつ言語は結構多いんだよ。

    動詞の活用が多い

    スペイン語は英語に比べて、動詞の活用が多い言語でもあります。

    主語によって変化し、単数・複数でも使い分けなければならず、時制や法(直説法・接続法・命令法)によっても変化します。

    ここで「comer」(食べる)という動詞がどのように変化するのか、表にまとめてみました。

    なんと、一つの単語が40以上にも変化しています。驚きですよね。

    過去形が2種類ある、英語にはない「接続法」がある等、この表を見ただけで滅入ってしまいそうです。

     

    また、国によって人称代名詞の使い方にも違いがあります

    スペインでは「vosotros」(君たち)をカジュアルな場面で使用し、「ustedes」(あなた方)を敬語を話すような感覚で使用します。しかし、メキシコや中南米では「vosotros」を使用せず、誰に対しても「ustedes」を使用します。

    人称代名詞が変われば、当然、その後に続く動詞の活用も変わります。

     

    このようにスペイン語は覚えることがたくさんあります。これもスペイン語を学ぶ上で頭を悩ませるポイントです。

    とらんちゃん

    スペイン語に比べると、英語がとってもシンプルに感じるよね。
    ちなみにイタリア語やフランス語、ポルトガル語にも似たルールがあるよ。

    スペイン語翻訳の注意点やポイント

    同じスペイン語でも国によって違いがあるため、スペイン語に翻訳する際は、その文書がどの国や地域を対象にしているのか、仕向地(しむけち)の情報が重要になります。仕向地とは、翻訳後の文章やコンテンツが使われる「国や地域」を指します。

     

    仕向地については過去のブログでもご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

    桁区切り・小数点

    言葉の違いだけでなく、数字の表し方も国によって変わります。日本では小数点はピリオド、桁にカンマを使いますが、スペイン語の場合、日本と同じ表記の国もあれば、小数点にカンマ、桁にピリオドを使う国もあります。

    翻訳を依頼するときに国の指定は必要?

    スペイン語で書かれている文書が、他のスペイン語圏で全く通じないということはほぼありませんが、思わぬところで誤解釈されてしまう恐れはあります。

    特に、文書によっては数字の書き方は非常に重要になるので、注意が必要です。

     

    また、ある国では日常的に使っている単語が、別の国ではネガティブな意味を持つこともあります。作成する文書を意図した形で効果的に伝えるためには、仕向地の指定をした方が良いでしょう。

     

    ちなみに、仕向地として「中南米」という表記も見かけますが、中南米には10以上の国があるため、どの国の基準に合わせて翻訳すべきか、翻訳会社は判断に迷ってしまいます。

    スペイン語に関わらず、仕向地はできるだけ国を指定しましょう

     

    なお、メキシコは中南米に含まれがちですが、実際にはアメリカやカナダと同じく北米に属しています。

    スペインにはスペイン語以外の公用語もある

    スペインでは、複数の言語が公用語として使われています。一般にスペイン語と称されるのは「カスティーリャ語」で、その他に、カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語など地域別の公用語が存在します。

    これらはスペインが一つの国に統一される前から使われていた言語です。

    日本で言う「方言」とは違い、まったく「別の言語」だといえます。

     

    ちなみにスペインを代表する建造物「サグラダ・ファミリア」のあるバルセロナの公用語は、カスティーリャ語とカタルーニャ語です。バルセロナでカタルーニャ語の挨拶をすると、とても喜んでくれますよ。

    参考までに、各公用語の「おはようございます」をご紹介しますね。

     

    ・スペイン語(カスティーリャ語):Buenos días (ブエノス ディアス)

    ・カタルーニャ語:Bon dia(ボン ディア)

    ・バスク語:Egun on (エグノン)

    ・ガリシア語:Bos días (ボス ディアス)

     

    スペインを訪れる際には、ぜひその地域の公用語で挨拶してみてくださいね。

    まとめ

    いかがでしたか。今回は世界的に話者が多いスペイン語についてご紹介しました。

    一言に「スペイン語」といっても国や地域による違いがあり、使用する国や地域の文化・習慣やルールなどによって訳し方が変わることもあります。

     

    翻訳センターでは、80言語以上に対応した翻訳サービスを展開しています。

    多言語翻訳に関するご質問やご相談は、下記の「翻訳センターへ問い合わせる」からお気軽にお問い合わせください。

    ここまでお読みいただきありがとうございました。


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    翻訳センター マーケティング部

    とらんちゃん

    とらんちゃん

    「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。

    • 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
    • モットー何でもトライ!
    • 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。

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