インバウンド戦略のトレンド | 言語対応の重要性と取り組み例

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2025年3月、セブンイレブン公式X(旧Twitter)で、インバウンドの観光客向けに蕎麦の食べ方を紹介する動画が公開されました。これには、MLB開幕戦の開催に合わせて、多くの外国人観光客やメディア関係者が来日したことが関係しています。その折に、蕎麦の食べ方を間違えたアメリカ人記者が話題となり、セブンイレブンが蕎麦の正しい食べ方を紹介する動画を即座に公開したのです。
このような取り組みは、外国人観光客が日本文化をより深く理解し、日本で過ごす時間を楽しむ一助となっています。インバウンド観光客の増加を背景に、日本の食文化が注目されることは、日本経済にも良い影響を与えているようです。

世界中にいるとらんのお友達もたくさん日本に遊びに来ているよ!
みんな日本文化を説明する動画を活用しているよ。
数字で見る「インバウンド2025」
訪日外国人の増加
日本を訪れる外国人観光客は年々増加傾向にあります。JNTO(日本政府観光局)の発表によると、2024年の年間インバウンド旅行客数は3,600万人を超え、コロナ前の水準を大きく上回り過去最高となりました。皆さんも日々の生活やビジネスにおいて、外国人観光客の増加を実感しているのではないでしょうか。日本政府はインバウンド旅行客の目標数を2030年までに6,000万人としていることから、今後もインバウンド旅行客の増加と日本への経済効果が期待されます。

2014年~2024年 訪日客数推移(出典:日本政府観光局(JNTO))

「3,600万人」は、マレーシアの人口と同じくらいの人数だよ!
東アジア、東南アジア、欧米豪・中東からの訪問者が増えたことが、過去最高の更新に繋がったみたいだね。
翻訳センターのインバウンド案件
観光庁が公開している「インバウンド消費動向調査」によると、出発前に役に立った旅行情報源はSNSが全体の40.6%、次いで動画サイトが37.9%と、訪日観光客がSNSや動画を多用していることが分かります。
また、それら旅行情報源の言語は、約半数が英語、次に中国語繁体字の25.6%、韓国語22.6%、中国語簡体字21.2%となっています。このことからも、さまざまな言語での情報発信は、外国人観光客に選ばれるための重要な要素の一つと言えるでしょう。
翻訳センター動画専門グループでも動画翻訳の依頼が年々増えており、2024年度の引き合い数は過去最高を記録しました。なかでもインバウンド対応を目的としたコンテンツを含む外部公開用の動画翻訳は、65%程を占めています。また、動画の他、WEBサイトやPR関連資料など、インバウンド向けコンテンツ翻訳の問い合わせも頻繁にあり、翻訳を依頼される言語は多岐に渡ります。
インバウンド向けコンテンツの問い合わせ例
- イベントのチラシ、ポスター
- 観光名所のリーフレット、観光マップ、スタンプラリーツール
- 飲食店のメニュー
- ショッピング施設のWEBサイト、施設内のデジタルサイネージ
- インバウンド観光客向けアンケート
- 製品やサービス購入者向け動画
- 既存動画をSNS用へ再編集
- 店舗やサービスの疑似体験動画
- 宿泊施設が運用するSNS
- 化粧品などの口コミ情報

大阪・関西万博は、インバウンド需要をさらに押し上げると言われているよ。
実際に、翻訳センターも万博関連のお仕事をお手伝いしたよ!
インバウンド増による言語対応・文化理解の重要性

国内の外国人観光客が増える中、温泉利用に関するパネルや、和式トイレの使い方を解説したポスターなど、日本独特の文化をわかりやすく表現した掲示物を見かけることが多くなりました。また一方で、訪日外国人の多様な宗教文化(食事、礼拝室など)への配慮や異文化理解の促進など、迎え入れる側の意識変化が環境の整備につながっていくことも期待されています。
訪日外国人が日本で直面する文化や言語の壁は少なくないようですが、企業や自治体では、それらの壁をできるだけ低くするためのさまざまな取り組みを進めているようです。
事例 「運賃表の多言語表記が読みづらい・・・」
公共交通機関の運賃表に関する興味深い事例があります。
「多言語対応改善・強化のための観光庁の取組」資料によると、複数の交通結節点(公共交通機関の駅やプラットフォームなど)で確認された課題の中に「運賃表の多言語表記が読みづらい」という事例がありました。情報を外国語にすることに意識が向きがちですが、単に多言語表記するだけではなく、他にも工夫の余地がある、と問う一例です。
この「運賃表の多言語表記が読みづらい」という課題に対する先進的な取り組みとして、同資料では名古屋鉄道・名古屋駅の事例を紹介しています。同駅では、自動券売機付近に英語のみに限定した路線図を掲示しつつ、主要な行き先と運賃を容易に把握できるよう文字サイズを大きくした案内板を設置しています。情報量が多い場合には言語を限定し、見せ方を工夫することで視認性を上げるなど、外国人観光客に寄り添った「伝わる」情報の発信事例です。

翻訳センターでも複数言語を併記する案件を多く取り扱っています。プロの翻訳会社による翻訳文、それぞれの言語の読みやすさに配慮したレイアウトやデザイン、ネイティブスタッフによる視認性チェックが、インバウンド観光客への「伝わる」情報の提供を後押ししています。

観光客向けに「やさしい日本語」での表現を充実させている自治体や企業もあるみたいだよ!
やさしい日本語について紹介した記事もあるから、チェックしてみてね!
まとめ
いかがでしたか。訪日観光客の増加は日本経済に大きなプラス効果をもたらしますが、一方で、自治体や企業の努力だけでは補いきれない「言葉の壁」も存在しています。観光案内版や地図などの多言語表示、SNSやWEBサイトを通じた情報発信、視覚的に魅力的なコンテンツの制作、緊急時のリアルタイムコミュニケーション手段の充実など、求められるインバウンド対応は多岐に渡ります。こういった取り組みを通じて、訪日観光客が日本文化をより深く理解し、日本で過ごす時間を心から楽しめる環境を整えていきたいですね。
この機会に、できるところからインバウンド対応を始めてみませんか?
ここまでお読みいただきありがとうございました。
※記載の会社名および製品名は各社の登録商標または商標です。
翻訳センター ブログチーム

とらんちゃん
「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。
- 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
- モットー何でもトライ!
- 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。
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