翻訳後のレイアウト編集ってどんな作業?必要なとき、不要なとき
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翻訳した後に「レイアウト編集」という作業が必要となるケースがあることをご存知ですか。
この記事では、レイアウト編集という翻訳工程の名わき役(ときには主役級)について書いていきます。
翻訳後の「レイアウト」っていったい何のことだろう。
見積書に「レイアウト料金」という項目があるけど・・・本当に必要なのかな?
翻訳後のレイアウト編集とは?
翻訳する際、異なる言語に置き換わることでドキュメントの体裁(見た目)が崩れてしまうことがあります。この崩れを修正し、原稿と同じような仕上がりに整える作業が、翻訳後のレイアウト編集です。DTP編集ともいいます。
整った体裁のドキュメントは、読みやすさや分かりやすさが向上し読み手に伝わりやすくなります。そのため、翻訳後のレイアウト編集が重要な役割を果たしています。
レイアウト編集は、WordやPowerPointなどのOffice系のデータから、Illustrator、InDesignなどのAdobe系のものまで、さまざまなデータ種類に対応した編集作業が含まれます。この作業を担うのは、おもにDTPオペレータと呼ばれる専門の作業者です。
レイアウト編集と翻訳作業は別工程になるため、翻訳料金とは別に「レイアウト料金」が発生します。
そのため、どんなときにレイアウト編集を取り入れるべきか、逆にどんなときはレイアウト編集が不要としてコストカットできるか、知っておくと依頼時の判断材料として役に立ちます。
それでは、まずは「不要」となるケースから紹介していきます。
レイアウト編集が不要なとき
体裁なんて気にしない!用途、データ種類では切り捨てOK!
必ずしもすべての翻訳でレイアウト編集が必要というわけではありません。
例えば、内容を確認するためだけの和訳資料や、社内共有のための議事録の英訳など、手の込んだレイアウト編集は無くても大丈夫そうですよね。
以下のような場合は、レイアウト編集が不要と判断されることが多いです。
- 社内確認のみに使用するため、多少見栄えが悪くてもコストを抑える方を優先したい
- 一日でも早く翻訳文がほしいのでレイアウトは二の次でもOK
- 書いてある内容が確認できればOKなので、別ファイルに翻訳文だけ記載したものがあればいい
- 図表やテキストボックスが少ない単純な作りのデータなので、翻訳後のページ数が原稿より多くなっても影響が少ない(契約書や議事録の翻訳によくあるケース)
- 自社でレイアウト編集ができるので、翻訳文を原稿データに上書きしてくれるだけで十分
社内利用や内容把握用など、使用用途に応じてレイアウト編集をばっさりカットしちゃおう!という選択肢もあるってことみたいだよね。
工程そのものを省略することで、納期やコストを抑えることができるよね。
また、ファイル形式もレイアウト編集を不要と判断する目安の一つとなります。
一番分かりやすいのは、契約書や議事録のような、Wordファイルで作成された比較的シンプルな構成のものです。複雑なレイアウトもなく文字が配置されているため、翻訳後も異なる言語に置き換わった影響を受けにくくなります。
レイアウト編集が必要なとき
では、レイアウト編集が必要と判断されるのは、どんなときでしょうか?
冒頭にも述べた通り、体裁が整っていると、より読みやすく伝わりやすいという効果があります。そのため、完成度を高めたい場合はレイアウト編集が有効に働きます。
画像が多い製品パンフレット、読みやすさが重視されるユーザーマニュアル、テキストボックスの多いプレゼンテーション資料、外部向けの公開資料など、翻訳後にレイアウト編集が必要なドキュメントは多く存在します。
翻訳会社としても単に翻訳だけではなく、多岐にわたる使用用途に応じて、完成度などに配慮しながらベストな方法を提案しています。
テキストボックスに英語が収まりきらない問題発生
こんな経験はありませんか?
「もとの日本語は1ページでおさまっていたのに、英語に翻訳すると1ページではおさまらなかった・・・」
「テキストボックスに英語が入りきらず、文字が図表と重なってしまうなど、体裁が大きく崩れてしまう・・・」
なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。
日本語から英語への翻訳を例に説明します。
■英語文章が長くなる例
日本語:連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
英 語:Explanation of future forecast information such as consolidated financial results forecasts
このように異なる言語に置き換わった場合、全体の体裁に影響することがありますので、編集作業が重要となることを頭の片隅に置いておくといいでしょう。
英文だと2倍くらいの長さになっていることがパッと見でも分かるよね!
原稿と同じ体裁を再現するための具体的な作業項目とは
では、ここでレイアウト編集の一般的な作業内容について紹介します。
1.フォント
言語によってフォントの種類が変わるため、文字化けなどに注意して、お客さまから指定されたフォントや翻訳言語に適したフォントへ変更します。
■ビジネス利用の代表的なフォント例
- 日本語 :MS明朝、游明朝、MSゴシック、游ゴシック
- 英語: Times New Roman、Arial、Calibri
- 中国語 簡体字:SimSun 、SimHei
- 中国語 繁体字:MingLiu、MS JhengHei
など
また、原稿に文字色、ハイライト、太字、アンダーラインなどの装飾がある場合、翻訳文の同じ位置にも装飾を反映します。さらに、フォントサイズや文字間隔を適宜変更することで体裁を整えます。
2.段落、行間、改行
左揃えなどの配置変更、インデントや段落前後の行間隔などを調整します。禁則処理、英単語の途中で改行しないなど、言語に合った調整をします。
※改行位置、記述方向に注意が必要な言語もありますので、翻訳言語に精通したDTPオペレータが対応します。
3.用紙サイズ、余白
アメリカ式レターサイズから日本式A4サイズへの変更、余白設定の変更でページ数の増減などを調整します。
4.ページ設定、目次
ページ区切りの変更、翻訳後のドキュメントに合わせたページ番号の設定をします。目次設定がされている場合は目次の更新や設定を調整します。
5.ハイパーリンク
翻訳後も原稿と同じリンク設定を保ったまま表示されるよう、設定を確認します。翻訳文に合わせてリンク表示のテキストを編集します。
6.索引
翻訳文の言語に適した並びへ変更します。例えば日本語から英語に翻訳した場合であれば、五十音順からアルファベット順へと変更します。
その他、ファイル形式や図表の作りに応じて、レイアウト編集の作業内容もさまざまです。
翻訳後のレイアウト編集で使用される主なファイル形式
翻訳後のレイアウト編集は、原稿と同じデータ種類やバージョンで作業することが一般的です。
しかし、お手元の原稿が紙媒体やスキャンデータの形式でしか存在しない場合もあります。その際は、ご希望のファイル形式で翻訳後のドキュメントを新規作成するケースもあります。
翻訳会社では、各言語でさまざまな種類のファイル形式に対応可能です。下記以外でも希望があれば別途相談してみてください。
■主なファイル形式
Word / PowerPoint / Excel
Adobe InDesign / Illustrator / FrameMaker / Photoshop / Acrobat Pro
HTML
など
まとめ
いかがでしたか。必ずしもレイアウト編集が必要というわけではありませんが、迷った際は「この資料の読み手はだれ?」、「どういった場面で使う予定?」などを想像してみることをおすすめします。データの種類や使用用途によっては、レイアウト編集をすることでより伝わりやすく効果的なドキュメントを作成できます。
翻訳後データのソフト変更、英語以外(他言語)の対応、Adobe系ソフトでの編集作業などなど、「個別に確認したい!具体的な案件がある!」そういう場合は、翻訳会社に相談してみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
※ Word、PowerPointおよびExcelは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。その他記載の会社名および製品名は、各社の登録商標および商標です。
翻訳センター インサイドセールスチーム
とらんちゃん
「とらん」だけに「トランスレーション(翻訳)」が得意で、世界中の友達と交流している。 ポケットに入っているのは単語帳で、頭のアンテナでキャッチした情報を書き込んでいる。
- 生年月日1986年4月1日(トラ年・翻訳センター創業と同じ)
- モットー何でもトライ!
- 意気込み翻訳関連のお役立ち情報をお届けするよ。
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